粘度と動粘度について
ねこ助の息抜きブログ

粘度と動粘度について


機械力学、材料力学、流体力学、熱力学を合わせて4力学は機械系の大学生が覚えなければならない関門です。今回から流体力学のあれこれについて、備忘録を掲載します。

粘度と動粘度 違い

粘度と動粘度

粘度は以下の図の状況で、流体と接する動物体の受ける摩擦力(せん断力)を決める数値です。固体上を滑る物体が受ける摩擦力を算出するのに使用する摩擦係数の様なものと思っていいでしょう。対して動粘度は流体の粘度/密度を算出したものです。なぜ動粘度が定義されたのでしょうか。それは「流体の流れやすさ」を定義するのに粘度は厳密に言うと不十分だからです。


粘度と動粘度 違い2

一言でいうと、粘度は「接触する物体への引っ付きやすさ」です。動物体側の運動方程式を立てる場合には粘度を使用して事足ります。ただし、流体の流れやすさは、流体の粘性(ベタベタ度)だけでなくその物体の重さも加味しなければなりません。動粘度はその流体の単位質量あたりの体積を動かすのに必要な力の大きさに関係する数値です。粘度が高くとも、密度(質量)が低い流体であれば、同じ体積の流体を動かすのにより多くの力を必要とします。


同じ大きさのリンゴと鉄球をそれぞれ異なる液体の粒子と見立てます。大気圧下で、リンゴと鉄球が落ちる速度が変わるのはなぜでしょうか。それは空気の粘性という摩擦抵抗に対して、二つの物体の質量が異なるためです。(真空下では空気摩擦、すなわち粘性の影響を受けないので両物体は同時に着地します。)つまり、粘度が高くとも、その流体が重ければ、その流体は流れやすい液体だと判じることが出来ます。言い換えれば、粘度が高くとも、動粘度が低ければ、その液体は流れやすいということです。


粘度と動粘度3

勘違いし易いのですが、液体の密度と粘度はそれぞれ独立の変数ではありません。そこが粘度と動粘度の理解を妨げる要因となっています。粘度は主に温度、圧力によって決まる変数ですが、これは密度も同じです。そのことから考えても、粘度が同じであっても、流れやすさが大幅に異なる2流体というのは少ない事例だと想定できます。とは言え、やはり粘度は「流体の流れやすさ」の指標として厳密ではないため、流体輸送を考える際には流体の動粘度を見るのが無難です。